IT関係の機器は、安定した動作のために発熱を管理する必要があります。心臓部にあたるパーツが動作中は常に発熱するため、適度に熱を抑えないと動作が乱れたり故障したりするおそれがあるからです。IT機器を設計するエンジニアは、熱を制御するためにいろいろな工夫をしなければいけません。ファンを内蔵して、空気の流れを作って冷やす事例が定番の対応方法です。
しかし、パーツが動作しているときの温度を正確に把握できないと制御には限界があります。そこで活用されるのは、温度計のセンサーです。この温度計のセンサーを機器に内蔵しておけば、リアルタイムで温度をチェックできます。商品を正常に作動させるためには、欠かせないパーツのひとつです。
温度計のセンサーが欠かせないIT機器のひとつが、スマートフォンです。スマートフォンは小さな本体の内部に多数のパーツが詰め込まれています。本体を薄く軽くしたい傾向もあるので、ファンを内蔵するのは困難です。そこで温度計のセンサーを内蔵して、発熱するチップを細かく制御する手法が選択されています。
一定の基準を超えた温度になったときは、処理性能を落として対応する例が一般的です。機器の利用者がセンサーの存在を実感することは少ないかもしれませんが、適切な動作のためには心強い存在です。これからも機器の発展に貢献するのは間違いないパーツのひとつで、小型化が進むと考えられています。国際的な開発競争がある分野でもあります。